303号室から愛をこめて

何が楽しくて生きているのか

中締め

書き溜めた膨大なメモを前に呆然とした。 何も書きたいと思えなくなってしまった。このメモは不完全なまま完結していた。 不格好なこれをそのまま出せる勇気もない。今更新しく何かを書く気力もない。 ところで書いたところで何になるのか。 そもそも303号室…

ワードセンス

より多くの言葉を知ろうという気に少し前からなっている。 言葉を知らなければ自分が感じている今の状態を上手く言い表せないからだ。 とはいえ、いまの自分は気だるいのか、鬱々としているのか、はたまた無気力なのか、それとも複合的なものなのか、正直わ…

プァエ

かつて『プァエ』という阿呆がいた。 いま「プァエ」と名乗っている私は、名前を借りてるに過ぎない全くの別人だ。彼には勢いがあった。 頑固でわがままで我が強くて強引で自己中心的な性格が次第に人を遠ざけたのかもしれないが、それなりに周りには恵まれ…

黒夢

昨晩は珍しく、きちんと寝ようとした。 携帯を充電し、目薬を点し、布団をかけて、電気を消す。目を閉じて今日の出来事を思い出したり明日の予定を確認したり、はたまたしょうもないことを考えながら、だんだんと意識が薄れ眠りにつく。そんな当たり前から最…

うまぴょい伝説

モーニング娘。の『LOVEマシーン』と『恋愛レボリューション21』、はっぱ隊の『YATTA!』を、平成の“ええじゃないか”だと論じる人物がいる。私は腰痛博士と呼ぶが、彼の視点や考察はたしかに鋭く、三曲とも沈み行く世を憂いつつ底抜けに明るくキャッチーな振…

霊感少女

幼い頃から霊感少女を興味深く思っていた。 私にはそういったものがまるでない。彼女は何も無いところを指して居るとか喋っているとか言うのだ。これがハッタリや出鱈目であったとしても確かめようがない。 正直、気味悪いと思ったこともあるが、霊感が本当…

約束

じゃあ二年後。達者でな。 いつも一緒に飲んでいた350mlの缶チューハイを片手に夜道を歩いた。餞別としてこれを渡してくるあたりが相変わらず憎い。終電を逃した夜はまだ寒く、冷えたレモンサワーを持つ手の感覚は酔ってもいないのにほとんどない。自宅まで2…

降伏

私が握りしめている薄汚い紙に、 私の生殺与奪の権を握られている。乾いた笑いすら出てこないが、 その歪な様相はこの上なく滑稽だ。 78億人全員参加のマネーゲーム。 「今日は皆さんにちょっと殺し合いをしてもらいます」労働者は時間、身体、労力、その他…

夕暮れ時の快速列車は何を乗せて走るのか。草臥れたスーツの背中、大きな紙袋をぶら下げた左腕、私の足りない脳みそ。そんな有象無象を無造作に詰め込み夜へ向かって揺れ動く。 強い西日を背に中吊り広告に目をやる。何か理由があるわけではないが、ただ漠然…

書きかけ

定時で仕事終わるのに、帰宅がいつも23時過ぎるのはどういう了見なのか。 まあ、自分がわかってればいいことではある。 通勤のバスで毎日スマホを忙しなくフリックしてはいる。ただ、車酔いで10分少々で断念せざるを得ないのだ。 乗換検索では21分、道が混雑…

ソルヴェキの森

大御所作家が書きそうな文章を書いてみる。 というテイで自分が書きたいことを容赦なく書いてみる。 下世話な話が苦手な方は他の記事を熟読し、来週までにA4用紙1枚程度にまとめること。 ◇ 朝早くに家を出て日中動き回り、夜遅くに帰宅した日の風呂場で私は…

寒さのせい

はじめて死にたいと思ってしまった。 いつものように歩道橋の上を歩いていると、凍てつくからっ風に煽られた。 そのとき、それはもう何の前触れもなく、咄嗟に。 なんか、寒いからだろうな。 ぜんぶ寒い。 寒さのせいなんだよ、全部。

106号室

昨年2月25日、京都の303号室。 深夜、愛車ロードスターに詰めるだけ詰めて故郷を出た。ただでさえ乗降しづらいツーシーターの助手席には荷物に埋もれるように彼女がいてくれた。7月下旬、実家に帰る。 早すぎる撤退。いや早くて良かったのかもしれない。メン…

引越前夜

ベッドが部屋の8割を占めてしまうほど狭くて、壊れかけの給湯器で温度の定まらないシャワーを浴びるストレスフルなバスタイムを毎日強いられ、古すぎる洗濯機は曹洗浄しても綺麗になったのか疑念の余地があり気分的に服が綺麗になってるか心配になるし、隣の…

2メートル

「夜の散歩をしませんか? 2メートル離れて」 ビールを飲みながら2時間歩いたあの日、思い出したフレーズである。 ◇ 京都の303号室でひたすら寝腐っていたときの話。 ひたすらTinderでスワイプだけしていた日々。その甲斐あって、良い出逢いも、しょうもない…

遅ればせながら新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。 昨年、新しくブログを作り直し、 勝手気ままに駄文を撒き散らしておりました。 本年も昨年同様、 くだらない文章を生み出していく所存です。 ただ一つ、 昨年は28年の人生で最も苦難の年でした。 さすがにもうしんどいので…

1分

終電を逃すことにはさすがにもう慣れた。 1分早くお店を出ていれば間に合っていたと考えたら非常に阿呆らしい。その1分に終電を逃すほどの価値があったのだろうか。しかしまあ終電間際の名残惜しさには冷静な判断をさせない圧倒的な力がある。 仕方がない、…

夜明け前

死んだように黙り続ける幹線道路沿いを歩いた。 日中の喧騒が嘘のように静寂が包み込んでいる。足元から聞こえる自分の革靴が立てる疲れきった音だけが、声を上げることを許されている。せめて凍えそうなほど寒い風を一身に受け止めた街路樹が鳥肌を立てなが…

「死にたい」がない

炊飯器が鳴るのを待っている。「食べたい」と思った瞬間が一番「食べたい」わけであり、「食べたい」と思ってから料理を始めたらいざ食べ始めるときには飢餓状態でない限りは「食べたい」という気持ちのピークを過ぎてしまっている。 とはいえ「食べたい」と…

なにくそ

毎日何かしらに悔しいと感じており、そのたびに奥歯を強く噛み締めてしまうから、そろそろ草食動物スタイルの歯になってしまうのではないかと気が気でない。 仮に草食動物っぽい歯になったら野菜しか食べなくなるのだろうか。いや、ない。 面接の疲れからか…

刃毀れ

研ぎ澄ましてきた言葉の刃は呆気なく壊れた。 刺すことはおろか突き立てることすら敵わぬ。言葉を失う、とは恐ろしいものだね。 急に頭から思考や意思が消えていくんだ。 言葉で理解してるから言葉が消えたら そりゃあ当然何もなくなってしまうよね。記憶が…

中指

正当に評価されるなんてことは童話の世界のおはなしで、まるでサンタクロースを信じなくなるように大人になるにつれて現実を知る。 だけど乙女がいつか白馬の王子様が迎えに来てくれるのではないかと淡い期待を捨てきれないでいるように、どこか夢見がちな僕…

「ほら息が白い」 煙草の煙を吐いて言ってみせた。「そんな子供だましに引っかかるわけないでしょ」 子供のまんまだねと言わんばかりの呆れ顔で君はため息をついた。 「あ、白い」 「言ったじゃん」 白い煙が夜に溶け込んで消えた。「そういえばこの前言って…

夜明け前

言葉はナマモノ。だから書きかけで時間が経ったものは出さないことが多くて。でもこれは読み直しても書いた当時の自分と今の自分のズレが珍しくないから加筆して出すことにした。やあ、先々週くらいの自分。 ーーー まったく性懲りもないよな。 昨晩、終電を…

目が覚めてそれが夢だとわかった瞬間の感情

なんかおかしい、 そう思うこともなく疑いもしない。 夢の中ではそれが現実、現実が夢を夢だと言うだけ。 懐かしい女性が楽しそうに私に向けて笑顔を見せていた。 なんとも抜き差しならない男と女の関係になってしまい、大学卒業以来ロクに連絡も取ってない…

アンガーマネジメント

憤怒、嫉妬、憎悪、怨恨、悲哀、苦悩、焦燥、 他にも何かあるだろうけどまあいいや。 人間の負の感情は劇薬。 扱い方次第では自らを救うし、殺す。怒りの炎に身を焼き焦がされた憐れな亡骸は数しれず。 巷は火葬いらずの死屍累々。怒りで自らを正当化するこ…

器用貧乏

生まれたときはみんな優秀だった。 生を受ける約10ヶ月ほど前、数億個が競うサバイバルレースで見事1位になったのだから。 落ちぶれたのはいつからだろう。 私はかつて“神童”と呼ばれていた。 生まれて間もなく7歩あるいて立ち止まり、 天地を指し「天上天下…

愛のカタチ

痛いことが何より苦手だった。 痛くするのも、痛くされるのも。痛くされるのは、痛いからイヤ。 痛くするのは、痛いのを知ってるからイヤ。だけどもう余裕綽々で首を絞める。 首を絞めてと頼まれた。できることは全部応えてあげたいと思った。 こんな感情は…

わからない

セブンスターが560円になっていた。 このあいだまでは500円だった気がする。 その前は460円だったような。 もっと前はもっと安かったし…このままいったら1箱いくらまでいくのか。 叙々苑くらいになったらやめようかな。 普通にトラジのほうが美味しいのだけ…

リーマス

案の定、電池が切れた。 数日前から明らかにこうなる兆候があった。メモリを増設したのかというくらい、 そのくらいサクサク脳が動いていた。アイディアは無限に飛び出て、やる気も出る。毎度のことだからわかってはいたけれど、 これは急転直下のフラグであ…