303号室から愛をこめて

何が楽しくて生きているのか

希望的観測

 

「あんなにも楽しく一緒に牡蠣を食べたのに」

手元に多量のカルモチンがあれば躊躇なく飛んでるだろう。

 

 

 

先日、メンズエステに初めて行った

 

普通に生きてるかぎりでは到底知り合うことすらできない、

それはそれは綺麗な女性にキワドイ施術してもらう極上の時間。

控えめに言ってもハマる、

あのマチャアキだって出すよ『星3つ』

 

僕は分別のある大人だ

当然セラピストや嬢が嫌がること困ることはしないし、

個人的なつながりを持とうとしたことも一度としてない。

 

現に推してやまないピンサロのミオちゃん、

何度お店に通おうが客以上の何者でもないし

それ以上を望んだこともないと余裕綽々で言い切れる。

仮に嘘をついていたならば

月に代わってお仕置きされたってかまわない。

 

たしかに今回はチャットアプリでのやりとりからだ。

営業用のアカウントだろうとは思っていたが、

メンエス自体に興味があったからすぐさま店のHPから指名で予約。

とはいえ単純に客として行くだけで他意はない。

上記の通り、分別のある大人だから、ここに嘘はない。

 

桃源郷にいるような贅沢な時間は一瞬で、

フラカンよろしく『生きていてよかった』状態。

シャワーを浴びながらこの夜を終わらせるわけにはいかねえと、

道中に見つけた牡蠣バーを思い出し衝動的に行くと決めた。

 

浴室を出てそれをセラピストに告げると

「おいしそう!私も行ってみたい!」とググりながら好反応。

しかし私は分別のある大人だ。

「お仕事が終わったらおいでよ~」

だなんて口が裂けたって言わない。

そんなことを言おうものなら『喝』を出されちまう。

私の心の中の大沢親分、リトル大沢に。

だから「今度行ってみてよ」と言って部屋を出た。

 

 

とは言うものの、変に意識はしてしまう。

雨上がりの夕方はこれまでも私をそそのかしてきた。

ひどく後悔したこともあった。終わってからじゃあもう遅いのにね。

昔のことだと笑い飛ばそうとしたが、身体があの日を憶えている。

水溜まりを次々に踏み散らしていく。その瞬間だけはボクに敵はいない。

幼いボクへ、今もなんも変わっちゃあいないんだよ。よかったね。

淡々と踏破しては次の水溜まりを探していく私の目の前に姿を現した。

そうだ、私が目指していたのはここだったのだ。ここが牡蠣バー『k…

 

 

って違う。当記事は『食べログ文学』ではない。

そして長すぎるノリツッコミを心からお詫び申し上げたいのだが、

これがいわゆる「つい出来心で」ってやつである。てへぺろである。

たしかに書き始めこそ食べログ文学調にしてオチにするのも考えたが、

店主が選び抜いた各名産地の生牡蠣や趣向を凝らした創作焼き牡蠣の数々、

火を通してあるのが嘘のような生の食感や風味を損なっていない蒸し牡蠣…

どれも非常に美味しくハイボールがどんどん進みます!リピ確定!

ではあるが、決して料理をレヴューしたくて書き始めたわけではないのだ。

店主、悪いが今回は許せ、

機会があれば最高の文学にしてアンタを腹いっぱいにしてやるからさ。

では仕切り直し、時を戻そう…

 

 

とは言うものの、変に意識はしてしまう。

訪れた牡蠣バーのカウンターでひとり思い直し、

美味しい牡蠣とハイボールで「生きていてよかった」と感じた。

ここでもまたフラカン状態である。

牡蠣とハイボールが進むにつれIQが溶けていった私は

「牡蠣しか勝たん」などと供述しており、近く千葉県に送検される見込み。

ひとりで優勝を確信し、鴨川か桂川に飛び込もうと思った。

どっちが鴨川で桂川なのかわからないが、どっちでもいいし、そもそもどうでもいい。

 

とはいえ、

この楽しさを共感してくれる人が隣にいてくれたら…

そう思わずにはいられなかった、そのくらい良い気分だった。

「まさか…ね」

ふと浮かんだ願ってはいけない期待を、すぐさま頭を横に振り消した。

誰とは言わないけど誰か来てくれたらなあという期待を。

やれやれ張本勲にも『喝』を食らってしまうなあと思ったその時、

控えめに言っても美人すぎる美人が隣に来て腰掛けた。

 

まさか、そのまさかだった。

「来ちゃった」

正真正銘、あの子である。

 

そのあとのことは正直あまり憶えていない。

だって思いもよらぬことが起きたら、

しかもそれが願ってやまないことだったら、

私だけでなく誰だって浮かれ舞い上がってぶっ飛ぶ。

 

実際、『ロマンティック浮かれモード』で

ミキティ状態な私が唯一憶えていることは

焼き牡蠣全種盛り合わせを再注文し、

「お前、食ってみろ、呼ぶぞ」と長州力状態になり、2人で

「「 牡 蠣 し か 勝 た ん ! ! 」」

と言った部分くらい。

楽しかったということしか覚えてなかったと言えばそれまでかもしれない。

 

お店でも感じてはいたが、プライベートであっても優しい母性溢れる女性であった。

(念のため補足するが『お店で感じていた』はダブルミーニングでもなんでもない)

正直、気付いたら私は本気で惹かれていた。

ひとりの女性として、もっと仲良くなりたいと。そこに下心はなく。

 

楽しい時間はあっという間で、店を出た。

勢いに任せて「このあとうちで飲みませんか」と訊いてしまった。

いけねえ。これは『喝』確定です!状態。

悩む険しい顔を見て後悔したが時すでに遅しというやつで。

 

だが返ってきた回答が

「次の日休みなので16日の夜に行きます」

だった。

 

私は分別のある大人だ

元々下心があってこうなることを望んでいたわけではないと、

神に誓って、月に誓って、心の中のリトル大沢親分に誓って断言する。

しかしこうなってしまった以上、合意の上だしなァ…

 

「あとでアプリで連絡先教えるので16日に会いましょう」

そう言われ私は彼女の背中を見送った。

 

 

 

 

今朝、いまだに連絡がきていない

あれ、おかしいな

たしかこのアプリ、年齢確認中メッセージ見れないんだよな…

きっとそのせいか

 

私は見れているかわからないけどダメ元で

私の最寄り駅で21時から待っている旨をメッセージで送った。

 

きっと来てくれるだろう

てか連絡先、店でその場で聞いとけばよかったなァ

 

 

 

 

21時半、いまだに来ない

あれ、おかしいな

たしかこのアプリ、位置情報で互いの距離が表示されるんだよな…

見てみるか

 

6kmのまま一向に変わる気配がなかった

 

その後、アカウントも消えた

 

 

 

 

ここまで読んでくださった方は「おいおい当然だろ」と思うでしょう。

まあそうですよね、わかります

ただ今の私には、読者の方々にはわからないこともわかってます。

 

それはね

『悪徳商売や新興宗教に引っかかっても気付けない抜け出せない状態』

 

恥ずかしながら申し上げると、

牡蠣バーに来たのはそれなりに親しみを持ってくれたのだと思っていたし、

店を出たあのときの私は断られているとは微塵にも思わなかったし、

自分の失敗点は直接あの場で連絡先を交換しなかったことにあると

アプリのアカウントが消えるまで本気で思っていた。

 

あの子目線で考えれば、

食べたかった牡蠣をタダで食べられそうだから来ただけだし、

丁寧にやんわり断らないと危ないから日程を調整する風にしたわけだ。

 

冷静に考えれば誰でもわかる、そんなことがわからなくなる。

だからこわいし、他人から説得しずらい。

『恋は盲目』という言葉もあるし、

最近話題の災害時の避難が遅れてしまう『正常性バイアス』など、

自分にとって都合の悪いことを無視してしまうことが人間にはある。

 

 

 

ようするに私が言いたいことは2つ

・「私は手のひらで踊らされていた」わけではないと未だに信じていること

・いま、まさに、そう、これこそが、おそろしい『正常性バイアス』の実態

 

いかがでしたでしょうか。

災害時にはぜひ当記事を思い出し都合の悪い情報を過小評価しないでください。

筆者も読者の皆様の災害に対する意識が上がることを願っております。

 

このような貴重な体験をさせていただき、

防災意識向上の一助となったメンズエステは問答無用のリピ確定です!

ただ私が恥ずかしくみじめな思いをしながら醜態を晒け出している現状と、

今日を棒に振ってしまったことを考慮し、-2して星3つです!!!

 

 

 

お願いです、私に喝を入れてください。

月に代わってお仕置きしてください。

リキラリアットで飛ばしてください。

後生です。